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建造環境とは,「さまざまな要素一道路・運河・埠頭や港湾・工場・倉庫・下水・官公庁・学校や病院・住宅・事務所・店舗など-からなる複合的な合成商品であり,その個々の要素は多様な状況のもとで全くさまざまな準則にのっとって生み出される」(ハーヴェイ;1991)。中村(1990)は,ハーヴエイによる建造環境を絶対的余剰価値の追求から相対的余剰価値の追求へと移行したことによる社会的インフラストラクチャーへの投資の拡大とみなし,「建造環境は資本の活動の容器であると同時に都市景観を形成する」と解釈する。
この考え方において住宅問題は,階級闘争が都市過程に与えてきた影響によるものとされ,「住宅の分野で起こった多くのことや,結果として生じた『都市的』なるものの形状は,こうしたさまざまの形態の階級闘争からのみ説明することができる」(ハーヴェイ;1991)とされた。
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この他にマルクス主義的観点からのハウジング研究としては,地代や住宅階層,居住分化,コミュニティ間の葛藤などに関して研究された。特にマルクス主義的なアプローチからのハウジング研究は,福利厚生の観点から住宅機会の不平等の指摘をするにあたっては,極めて刺激的で有効な分野であるといえ,スミス(1985)は「生活の質」という概念により基本的には厚生経済学の枠組みを提示した。この分析枠組みでは,社会的分化あるいは居住分化に対してもさまざまな成果をあげているが,「福祉の空間的不公平を考察するようになった段階で,空間的不公平という次元で解決されるのは,社会的不公平の中のごく一部に過ぎないこと」(竹内;1980)との批判もある。
またこれらの居住分化をすべて階級論争や政治体制と安易に関連付けたり,社会改革や社会改良を強いイデオロギーのもとで主張する点については,議論の多いところであり,竹内(1984)はアメリカの都市問題の説明とマルクスおよびエンゲルスの著作からの都市問題および住宅問題に関する引用において理論的整合性を持っていないと指摘した。またこの他にもジョンストン(1979)などによる同様の批判がある。